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新型ミニ・クーパー SEへ試乗 プレミアムでも「個性」は希釈? 本当の4代目はEVのみ

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新型ミニ・クーパー SEへ試乗 プレミアムでも「個性」は希釈? 本当の4代目はEVのみ

本当の4代目はEV版のみ 大人な雰囲気の見た目

英国車のアイコン、ミニが4代目へモデルチェンジした。新型には、ミニ・ワンやミニ・エレクトリックは存在せず、クーパーがベースモデルに据えられた。インテリアのアップデートも目覚ましい。

【画像】プレミアムでも「個性」は希釈? 新型ミニ・クーパー SE 競合サイズのEV 新型カントリーマンも 全113枚

加えて、本当の意味での新世代は電気モーター版のみ。内燃エンジン版も一新されるが、基本的には3代目のアップデートとなる。

内燃エンジン版は、クーパー Cかクーパー Sを名乗り、英国のオックスフォードで作られる。対して電気モーターを積むモデルは、クーパー Eかクーパー SEを名乗り、中国にあるBMWグループの工場で製造される。

見た目にはミニらしさが香るものの、従来より落ち着いた、大人な雰囲気を得たことも特徴だろう。運転は楽しめるものの、スポーティなハッチバックというより、プレミアムな性格が強いようだ。早速、詳しく見ていこう。

クーパー Eには、実容量36.6kWhでNMC系の駆動用バッテリーが搭載され、1度の充電で最長305km走れると主張される。従来のミニ・エレクトリックは、28.9kWhで225kmだったから、大幅に改善した。

航続距離は36%長くなり、動力性能はほぼ変わらず、英国価格は約3万ポンド(約576万円)から。コストパフォーマンスでいえば、同等といえる。

クーパー SEでは容量が49.2kWhへ増え、航続距離は392km。最高出力は218psで、英国価格は3万4500ポンド(約662万円)へ上昇する。トリムパッケージなど、オプションは多彩。運転支援システムなどを選ぶと、4万ポンド(約768万円)を超えてしまう。

高級感が漂うインテリア 着座位置は上昇

今回、スペイン・バルセロナで試乗したのはクーパー SE。2024年夏から英国での販売が始まるが、実用性を考えると、これが英国の主力になるだろう。

BMW傘下として、ミニが復活したのは2001年。オリジナルをモダナイズした、特徴的な容姿を引き継いできたが、4代目では大胆に一新された。要素を削り、クリーンでプレミアムな雰囲気が生み出されている。

丸いフォグランプやフェンダーのエンブレム、ホイールアーチのモール、クロームメッキのドアハンドルはない。フロントグリルも8角形になり、主張は抑えられた。現代的な印象を作っていた、クラムシェル・ボンネットでもなくなった。

デザイナーは、磨き込まれた水晶のような雰囲気を狙ったとか。筆者には、これまでの印象の強さや、魅力には届いていないように映る。どこか、ジェネリックな仕上がりにあるからだろう。読者はどうお感じだろう。

インテリアは、知覚品質の向上が図られた。ベースグレードのクーパー・クラシックでも、高級感が漂う。新型カントリーマンと同様に、ダッシュボードやドアパネルは、再生ポリエステルで包まれ、作り込みだけでなく触覚も素晴らしい。

駆動用バッテリーはフロア部分に敷き詰められ、着座位置は従来より60mm前後高め。低く座ったことで生まれる、スポーティ感は弱められた。

リアシートは、従来より僅かに広くなった。平均的な大人なら、長時間でなければ過ごせる。チャイルドシートの固定は、少し難しいかもしれない。

軽くない車重 機敏に向きを変えていける

ダッシュボード中央に据えられる、OLEDの丸いタッチモニターには、メーターとカーナビ、オーディオ、トリップコンピューターなどを統合。車載機能の殆どを司る。エアコンは、熱効率の良いヒートポンプ式が標準だ。

ショートカットが用意されたメニューは操作しやすく、グラフィックは高精細。それでも、ドライバーの正面にスピードメーターが欲しいことは間違いない。ロータリーコントローラーなどがあれば、一層ベターだ。

運転席からの視界は広いものの、バックミラーの位置が低すぎ、斜め前方に小さくない死角がある。これはトヨタ・ヤリスも同様だが、前方視界の確保は、もっと配慮されるべきだと思う。

さて、クーパー SEの駆動用モーターは、反応良くパワフル。最近は一層エネルギッシュなバッテリーEVも少なくないから、活発な走りを強みにできるほどではないけれど。

ドライブモードによって、走行時の人工サウンドも変わる。1959年のオリジナルを模した4気筒エンジン風から、近未来的な響きのものまで、音色の変化も大きい。一部のユーザーは好むはず。エンジンを模した音は、ややうるさいかも。

車重は1605kgあり、一般道でも軽くないことを感じてしまう。49.2kWhのバッテリーと、それを支えるシャシー補強で、先代のミニ・エレクトリックより200kg以上重い。技術進歩を考えると、もう少し軽くできたのではないだろうか。

それでも、カーブが連続する区間での身のこなしは良好。ステアリングは鋭く反応し、機敏に向きを変えていける。旋回時の、横方向のグリップ力も高い。

特別な個性は少し薄まった でも競争力は高い

乗り心地は、より滑らかな吸収性が欲しい。高速道路では路面変化に対し、ソワソワと僅かに落ち着きが足りない様子。姿勢制御は、加減速時など前後方向の傾きが大きめ。路面へ、しなやかに追従しているような印象は薄い。

週末の長距離ドライブへ、積極的に出かけようという気にはなりにくいように思う。歴代のミニとは違って。

現実的な航続距離は、高速道路や一般道などを複合的に走らせて、約320kmという結果になった。速度域の低い都市部では距離が伸び、高速道路では短くなる。

急速充電能力は、クーパー SEで最大95kW。Sでは75kWへ低くなる。高速とは呼べないが、残量10%から80%までの補充は、30分も必要ない。

ミニだから、高性能な電動版JCWも登場するはず。とはいえ、今回試乗したクーパー SEも、運転を楽しみたいドライバーにとって有力な候補に加えられる。

従来どおり、ミニらしさは追求されている。外観や車内は高級感を増し、使いやすさと航続距離も増えている。しかし、運転して得られる充足感は先代を超えていない。着座位置は高く、車重の重さは隠せていない。ダイレクトさも、幾分弱められたようだ。

確かに、強みは違う部分へシフトした。クラス・リーダーではないかもしれない。それでも、プレミアムな電動ハッチバックとして、高い競争力を持つことは間違いないだろう。特別な個性が、若干希釈されたとしても。

◯:増えた航続距離 高級感を増し、広くなった車内
△:軽くない駆動用バッテリー 先代ほど個性や魅力が濃くないスタイリング

ミニ・クーパー SE クラシック(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万4500ポンド(約662万円)
全長:3858mm
全幅:1756mm
全高:1460mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:392km
電費:6.6-7.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1605kg
パワートレイン:ハイブリッド同期他励電気モーター
駆動用バッテリー:49.2kWh(実容量)
急速充電能力:95kW
最高出力:218ps
最大トルク:33.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

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みんなのコメント

7件
  • ngo********
    こんな役立たずが600とか700とかミニごときに出す金じゃない。
  • tk9********
    もう廃止になったホンダの電気自動車に見えた。新型はただミニていう名ばかりだよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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